へんし~ん

いつも利用している近くの信用金庫。
カウンターの中には、緊張感漂う真剣なまなざしで仕事をしているひとりの新人。
何人もいる女子行員の中でも初々しい彼女は、とくに目立ちます。

今日も、その信用金庫に行くと彼女がカウンターに座って仕事をしています。
順番待ちの紙切れを機械から引き抜いて待っていると、その彼女が私の番号を呼びました。
「君、私の通帳がいっぱいになり記帳できなくなったのだが、新しい通帳を作ってくれたまえ」

「かしこまりました。あちらの椅子にお座りになり、少々お待ちくださいませ」

「うむ」

なんてやりとりの後、「れっちゃん先生(本当は名字)様」と目茶目茶気取った言い方とニヤニヤした表情で呼ばれました。
カウンターの前に行くと、立ち上がり小声で、
「先生、仕事で私の手に負えない事があるから教室行っていい?」

「あったりまえじゃん。いつでもいいけど、とりあえず電話ちょうだい」
という会話をしながら通帳を受け取りました。

彼女も働いている姿を見られるのが少々恥ずかしいようですが、見ている私もなんか照れくさい。
だってね、半年ほど前まで私の教室で、付き合っている彼氏の悪口や一生懸命やっている趣味の話を、ケラケラ話していた女の子だったんですからね。

今やいっぱしのOLさんだからねぇ。